ユーザー系ソフトハウスのシステムエンジニアであるJさんは、とにかくよく喋る人という印象だった。最初に我々の前に現れたTJさんは、挨拶もそこそこに今までの経歴を約二十分ほど喋り続けた。話のところどころにオチを入れるその語り口はまるで落語家のようである。そんなJさんの喋りを面白いと感じるかどうかは人それぞれだが、少なくとも相手を不愉快にさせるような人ではない。とにかく、異常なほどに喋りまくる人なのである。
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エンジニアにはめずらしいタイプのように思えたのであった。彼がしゃべりはじめて二十分を過ぎたころ、やっとこちらが口を挟むスキができたので、本題に入る前に言葉をかけてみた。「Jさんのお話に圧倒されましたよ。芸人さん顔負けですね」と、ちょっぴり皮肉を込めて言ってみたのが、逆にJさんを得意にさせてしまった。「はい、もう、大学時代は落研でしたから、落研時代はですね……」ここでまた喋りはじめると、延々と続きそうだったため、何とか軌道修正した上で、直球の質問を浴びせてみることにした。「ところで、転職の理由は何ですか?」「……」とたんに沈黙したJさん。その後、ぽつりぽつりではあるが、また喋りはじめた。「あの、ですね。私のこの喋りが……上司には気に入らないみたいで……最近ではあからさまに嫌われるようになりました。前の上司は良かったんですが、今年から異動してきた上司が堅物で、私を無能呼ばわりする始末なんです。自分としては、今までは職場の雰囲気をそれなりに盛り上げてきたと思ってるんですがね。今はその上司からは『喋ってるヒマがあったら働け!』と言われっぱなしで、イヤになりました」